ミニチュアピンシャーがなりやすい病気は?ストレス管理で長生きを

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ミニチュアピンシャーの寿命は何歳?

ミニチュアピンシャーがなりやすい病気は?ストレス管理で長生きを
photo by Jonathan Pincas

昔に比べて、飼い犬の寿命は年々長くなっています。
外で飼うことが当たり前だった時代から現在は室内飼いが一般的となり、また医療も発達しています。何よりも、ワンちゃんを飼うことに対する、飼い主の意識の変化が大きいのではないでしょうか?

犬全体の平均寿命は、だいたい12~15年です。
ワンちゃんの種別は「小型犬」「中型犬」「大型犬」と分けられていますが、小型犬の方が寿命が長く、大きくなるほど短命になる傾向があります。
そうしたこともあり、小型犬であるミニチュアピンシャーは、他の犬種よりも比較的長生きする犬種といえます。
もちろん個体差はあるものの、ミニチュアピンシャーの平均寿命は、約13年。これは人間の年齢にすると、およそ70歳前後です。

この平均寿命を長くするのも短くするのも、全ては飼い主次第。
愛犬家であれば、誰もがワンちゃんに「長生きしてほしい!」と願うものです。
では、どんなことに気を付ければいいのでしょうか?

ミニチュアピンシャーをストレスから守ろう!

何気ない行動でも、ストレスを感じているかも

ワンちゃんの寿命に大きく関係するのが、「ストレス」です。
ストレスを感じている状態が長く続くと、心身ともに大きな負担を抱えることになり、病気を患いやすくなったり自傷行為を行ったりと、様々な問題が起こります。
では、ワンちゃんはどんな時にストレスを感じているのでしょうか?
以下に、「こんな行動を取っていたらストレスを感じている」という、ワンちゃんのストレスサインを紹介します。

・目をそらす
ストレスを感じたワンちゃんは、その原因を見ないように目をそらします。犬同士は目が合うとケンカになってしまうので、危険を避けるための行動と思われます。

・白目を見せる
ワンちゃんの目は、普段黒い部分しか見えず、白目を見せることは滅多にありません。それでも、緊張した時など筋肉が硬直し顔の向きを変えることができなくなるので、目だけ動かした結果、白目が見えてしまいます。

・耳を後ろに倒す
耳を後ろに倒しているワンちゃんは、怖がっています。一見威嚇しているように唸っているワンちゃんでも、耳が後ろに倒れている子は怖がっているので、怖がっている対象から離して落ち着くまで待ってあげましょう。

・肉球に汗をかく
緊張して手の平に汗をかいた経験はありませんか?人間同様、ワンちゃんも緊張すると肉球に汗をかきます。暑くもないのに肉球が湿っているようなら、何かしらのストレスを感じているかもしれません。

・シッポを追いかけまわす
子犬が自分のシッポを追い回して遊んでいる姿を見たことがあるでしょう。ただし、それが成犬ならストレスを感じているかもしれません。これは、構ってもらえず退屈を感じている時の行動です。エスカレートすると、自分でシッポを傷つけてしまいます。

・あくびを繰り返す
「あくびは眠たい時にするもの」と思っていませんか?実は、ストレスを感じてもあくびをするんです。眠くなるタイミングでもないのに、あくびを繰り返したり目を細めたりしているようなら、ストレスを感じている可能性があります。

・体をしきりに舐める
鼻を舐めたり口をクチャクチャさせたりする仕種も、ストレスのサインです。仕種は一瞬ですが、よく見かけるので比較的気付きやすいといえるでしょう。また、場所は犬によって異なりますが、体の一部を舐め続けることもあります。

・体をかいたり震わせたりする
緊張や恐怖を感じると、体をかいたり震わせたりします。例えば、首輪をつけるのが苦手な子は、着け終わった後に後足でしきりに首元をかく仕種を見せることがありますね。

・マウンティング
緊張したり興奮したりと、ストレスを感じたワンちゃんは、ストレス発散の手段としてマウンティングを行うこともあります。マウンティングをしている側もされている側も、良い状態とはいえないので、すぐに引き離して落ち着かせてください。

・パンティング
暑い時、舌を出してハァハァすることを「パンティング」といいます。このパンティングを暑い日でも運動後でもないのに行っているようなら、緊張している可能性が高いです。

このほかにも

・固まってうずくまる
・その場から逃げようとする
・壁際まで逃げる
・人の後ろや物の後ろに隠れる
・歯をむき出しにする
・唸る

などの行動を取る場合もあります。
犬は気持ちを言葉で伝えることができません。だからこそ行動に注意して、ストレスのサインにいち早く気付いてあげる必要があります。

ストレスはため込まず解消させましょう

どれだけ良い環境に身を置いたとしても、ストレスは感じてしまうものです。
ストレスから身を遠ざけることは必要ですが、それ以上に重要なのはストレスを解消する方法になります。

では、具体的にどうやって愛犬のストレスを解消させてあげればいいのでしょうか?
以下に、ミニチュアピンシャーのストレスを解消させる方法をいくつかご紹介します。試した上で、愛犬に最適な方法を実践してあげてください。

・運動させる
運動不足はストレスの原因です。だからこそ、お散歩の回数や時間を増やして運動させてあげることは、ストレスの解消になります。台風などで外出できない時は、屋内でおもちゃを使って遊んであげるのもいいでしょう。
ただし、散歩は好き嫌いがあるので無理に散歩に連れ出すと、逆にストレスになる場合もあります。それでも、適度な運動はストレス発散になるので、無理のない程度に運動させるようにしてください。

・新しい刺激を与えてあげる
人間と同様に、毎日同じことを繰り返しているとワンちゃんもストレスを感じてしまいます。そのため、定期的に何か新しいことをはじめてみるといいでしょう。
例えば、おもちゃを新しくしたり散歩コースを変えてみたり、少しでもいいので毎日に変化を加えてください。

・スキンシップを増やす
ある意味上記と矛盾しますが、留守番や引越しなどの環境の変化は、ストレスの原因になります。時間をかけて慣れるのを待つしかありませんが、そんな時はスキンシップを図って愛犬を安心させてあげるといいでしょう。
ストレス解消になるとともに、絆を深めることにもなります。

ミニチュアピンシャーを病気から守りましょう

毎日の健康チェックから始めてみよう!

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photo by marabuchi

愛犬には、いつまでも元気で健康にすごしてもらいたいものです。
健康を維持させるためにも、毎日体を触って健康をチェックすることで、愛犬の状態を常に把握しておくようにしましょう。

もしも病気になったとしても早期発見できるだけでなく、愛犬との毎日のコミュニケーションとしてストレスの軽減にもつながります。

体を触られることにストレスを感じる子もいるので、慣れない内はおやつなどのご褒美を使いながら行うといいでしょう。
では、具体的に見るべきポイントとチェックの方法をご紹介します。

・目
「目の色や大きさが左右で違う」「目ヤニや涙が出ている」「目を痒がる、痛がる」といった様子が見られるようなら、何かしら不調を抱えているかもしれません。また、充血や腫れ、目の中に異物がないかなど、瞼を少し持ち上げて確認しましょう。

・鼻
人間と同様、くしゃみや咳、鼻水があるようなら、体調を崩して何かしらの病気を患っていると思われます。鼻が湿っていいないか、腫れや傷はないか確認してください。寝起きの鼻は乾燥しているので、起きてしばらくしてから確認してあげましょう。

・耳
耳から悪臭がする、痒がる素振りを見せるようなら、耳の病気になっている可能性があります。また、耳たぶが腫れていたり、しきりに頭を振ったりするような仕種を見せることもあるので、おかしいと思ったら早めに診察してもらいましょう。

・口
毎日歯磨きをしているのに、歯石が付いていたり臭いがしたりするようなら、歯周病の可能性があります。また、歯茎の腫れもチェックしてください。上と下の唇をとめくって、口腔内に異常がないか定期的に確認しましょう。

・体
「食べ過ぎでもないのにお腹が膨らんでいる」「しこりやイボがある」「触られるのを嫌がる」ようなら、病気を疑いましょう。また、人間同様、肥満は病気の元です。逆に痩せすぎの状態も、何か病気になっているかもしれません。

・脚
ミニチュアピンシャーは小型犬なので、膝蓋骨脱臼には注意しましょう。歩き方がおかしい場合、足に何かしらの不調を抱えている可能性があります。また、爪の伸びすぎや肉球の状態は、スキンシップもかねてチェックするようにしましょう。

このほかにも、排便や皮膚の状態、ごはんや水の減り具合などには注意が必要です。
ワンちゃんは自分の気持ちを言葉にできないので、日常の様子には気を配ってあげてください。

ミニチュアピンシャーがかかりやすい病気は?

皮膚がデリケート!アトピー性皮膚炎に注意

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photo by Daniel Rothamel

ミニチュアピンシャーは、被毛が短くシングルコートなので、皮膚がとてもデリケートで皮膚疾患になりやすい犬種といわれています。中でも、代表的なものが「アトピー性皮膚炎」です。

<症状>
アトピー性皮膚炎はアレルギー性皮膚炎の一種で、アレルギー反応により痒みを引き起こしす病気です。症状は主に耳や脇、股、足先、口や目の周りなどに現れ、こうした所を頻繁に「舐める」「噛む」「ひっかく」「擦りつける」ようなら、アトピー性皮膚炎を疑いましょう。
症状が進行すると、皮膚に赤みや脱毛、小さな発疹が見られ、傷口から細菌に感染して症状が悪化することがあります。

<原因>
原因となるアレルゲンは、ワンちゃんによって異なり、身近なものとして、花粉やカビ、ホコリ、牛乳、卵、大豆、首輪、シャンプー、注射などが挙げられます。アレルゲンは動物病院で検査するとハッキリするので、愛犬のアレルギーが心配なら、一度検査してもらうといいでしょう。
多くは遺伝的なものが関係しているといわれており、生後6か月から3歳くらいでの発症が多いようです。

<予防>
アトピー性皮膚炎は、アレルギー体質が関与するため、完全な予防は難しい病気です。
そのため、発症してしまった場合は、日常生活からアレルゲンを遠ざけるなど、環境を整えストレスを与えないことを心掛けてください。
薬やシャンプー、サプリメントなどを利用すれば症状を軽減させることもできるので、獣医師に相談した上で症状をコントロールしましょう。

原因不明?大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)とは

大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)とは、ワンちゃんの後肢にある大腿骨頭(ふとももの骨と骨盤とを連結している部分)への血流が滞り、骨頭が壊死してしまう病気です。
3~13ヶ月齢の成長期で多く発症し、ミニチュアピンシャーをはじめとした小型犬がかかりやすいとされています。
多くの場合片側の肢に起こり、発症した場合、症状を抑える内科的治療と壊死した大腿骨頭を切除する外科的治療のどちらかの対応を選ぶことになります。

<症状>
大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)になると、初期は足をかばって歩くようになり、徐々に悪化していきます。悪化すると壊死部分で頻繁に骨折が起きるようになり、痛みのため足をあげたままの状態が続きます。
その他、食欲の低下や股関節部分への接触を避けるといった素振りを見せることもあり、日常生活が困難になるでしょう。
最終的に大腿骨頭が虚血により壊死してしまいます。

<原因>
大腿骨頭壊死症(レッグペルテス病)の原因となる血流阻害がなぜ起こるのか、2019年7月現在解明されていません。可能性として、ホルモンの影響、遺伝的因子、解剖学的形態、関節包内圧、および大腿骨頭の梗塞形成などが考えられていますが、今後の研究が待たれます。

<予防>
発症の原因が解明されていないため、予防は困難です。
ただし、3~13ヶ月齢の小型犬が発症しやすいことは分かっているので、ミニチュアピンシャーを飼っている方は、親犬がこの病気を患っていなくても、細心の注意を払っておく必要があるでしょう。
ワンちゃんは本能的に、ケガや病気をしていても痛がる素振りを見せません。そのため、普段から歩き方を注意深く観察して、異変に気付いたらすぐに動物病院を診察してください。

小型犬に多い膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼はパテラとも呼ばれる、膝のお皿がズレてしまう病気です。先天性と後天性のものがあり一般的に先天性のものが多く見られます。年齢、犬種、性別に関係なくすべての犬に生じる可能性がある病気ですが、特にミニチュアピンシャーを含めた小型犬に多く生じる病気です。
ほとんどの場合、膝蓋骨が内側に落ちてしまう「内方脱臼」ですが、大型犬は外側に落ちる「外方脱臼」になる可能性が高くなります。

<症状>
無症状な状態から歩くことが困難な状態まで、 4 段階のグレードに分けられています。
軽度なら、痛みもなく自然に治ることがありますが、重症になると痛みと腫れが現れ、骨が変形して手術が必要しなければ回復は見込めません。
脱臼が重症化すると膝を伸ばせなくなるので、腰を丸めた姿勢になり歩行が困難となります。

<原因>
先天的な原因としては、生まれつき「滑車溝」と呼ばれる膝のお皿がはまっている溝が浅く外れやすことが挙げられます。
後天的な原因としては、ミニチュアピンシャーは高くジャンプしたり、跳ねることが多いので、その拍子に膝のお皿が外れてしまう可能性が高いです。特に、滑りやすいフローリングの床はリスクが上昇します。
このほかにも、骨に関係する栄養障害でも起こることが認められています。

<予防>
先天性の膝蓋骨脱臼は防ぐことはできませんが、外傷性の場合は膝にできるだけ負担をかけない生活をすることで、予防ができます。
例えば、「段差のない道を歩くようにする」「床にカーペットやマットを敷く」などの工夫がおすすめです。
また、運動制限や体重管理により、症状の進行を防ぐことができます。肥満にならないよう、日頃から体重管理を心がけましょう。

まとめ

今回は、ミニチュアピンシャーに長生きしてもらうために、どんなことを知っておけばいいのか紹介してきました。
ミニチュアピンシャーは、高い運動能力を持った犬種です。しかし、その小さな体では運動の負荷に耐え切れず、関節などの体に負担をかけてしまいます。愛犬の健康を守るためにも、住まいの環境を整え、少しでも負担を減らしてあげてください。

どんな病気・ケガになりやすく、予防するためにはどんなことに気を付ければいいのか、理解しておけば、健康寿命を延ばすことができ末永く一緒に暮らしていけるでしょう。

下記ページではミニチュアピンシャーの性格や飼い方について解説しています。こちらも参考になれば幸いです。
ミニチュアピンシャーの性格や特徴とは?初心者向け飼い方について ミニチュアピンシャーの性格や特徴とは?初心者向け飼い方について

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