犬の夜泣きの原因とは?無視や放置してよい?

ベッドで寂しそうにこちらを見ている白い小型犬

犬の夜泣き(夜鳴き)は、ある日突然始まることも珍しくありません。

それまでまったくなかったのに、成犬になって急に夜泣きを始める子もいれば、老犬になってから夜泣きするようになったという子もいるでしょう。鳴き声も、「クーン」「キュンキュン」「ワオーン」など、夜泣きの理由によってさまざまです。

では、もしも愛犬が夜泣きするようになってしまったら、どんな対応をすればよいのでしょうか。

成犬の夜泣きの原因と対策法

ベッドで放置されたことを怒っている成犬
犬は人間のように言葉によるコミュニケーションができないため、鳴いたり身体を動かしたりすることで、気持ちや感情を表現します。

夜泣きも、そんな表現の1つです。しかし、夜泣きする原因はさまざまで、対策もそれに応じて変えなければなりません。

では、成犬が夜泣きする理由には、どんなものがあるのでしょうか。

甘え・要求

原因

「お腹が減った」「トイレに行きたい」「一緒に遊んで」など、何らかの要求や甘えの気持ちから夜泣きすることがあります。

対策

基本的に、こうした夜泣きの場合は要求に応えてあげることで止めてくれるので、無理のない範囲で応えてあげると良いでしょう。

寂しい、不安

原因

犬は基本的に群れで暮らす動物なので、ひとりになることに不安を感じる子は少なくありません。そのためケージの中でひとりで眠ることに不慣れだと、不安を感じて夜泣きすることがあります。

対策

光や音など、外部からの刺激を和らげるためにケージ全体を布で覆うのが有効です。

また、ケージの中が広すぎると、それで不安を感じてしまうことがあるので、タオルやクッションなどを置くのも良いでしょう。飼い主さんのにおいがついていれば、さらに効果的です。

運動不足

原因

犬は運動不足だと寝付きが悪くなってしまい、そこから夜泣きをしてしまうことがあります。また、運動不足が原因でストレスを感じてしまうと、夜泣きでストレスを発散しようとすることも。

対策

毎日十分な時間、距離の散歩をさせてあげましょう。就寝時間前に遊んであげれば、大人しく眠りにつく子もいます。

犬種によっては、それにプラスして広い公園やドッグランで、定期的に思い切り遊ばせてあげると良いでしょう。

発情期

原因

オス犬は発情期(ヒート)のメス犬のフェロモンに反応して夜泣きをすることがあります。犬の嗅覚は人間の想像以上なので、数km離れていても反応することがあります。

対策

未去勢のオスはメスのフェロモンに反応しますが、性別関係なく発情のストレスによって夜泣きをすることがあるため、去勢避妊手術が一番の対策です。

病気の可能性

原因

ケガや病気で、身体に何かしらの不調を抱えている場合も、夜泣きをすることがあります。

この原因の場合、起きている状態でも普段とは何かしらの違う行動をしたりするので、普段から愛犬の様子を観察していると気付きやすいでしょう。

対策

愛犬の様子に何かしらの異常を感じたら、一刻も早く動物病院で診察してもらってください。犬は我慢強い動物なので、それと分かるほど普段と違いがあるようなら、症状が進行している恐れがあります。

老犬の夜泣きの原因と対策法

ベッドにひとりポツンと座る高齢のヨークシャーテリア

犬も人間同様、高齢になると認知機能などさまざまな能力が衰えます。

犬の場合、人間と違いそれを言葉にすることができないので、夜泣きという形で飼い主に訴えるようになることも。

認知症

原因

犬も高齢になれば認知症のリスクが高くなります。

認知症になると昼夜逆転生活になりやすく、昼間に寝て夜になるとうろうろしながら鳴き続けるパターンが多いようです。

対策

認知症が疑われる場合、まずは動物病院を受診してください。

サプリメントやフードで症状が改善するケースもあるので、かかりつけの獣医師と相談したうえで与えてみると良いでしょう。

甘え・要求

原因

老犬になり筋力や体力の衰えから、できなくなることも増えていきます。
そのため、単純に甘えという意味だけでなく、飼い主に助けを求めるという意味で夜泣きをすることがあります。

同じ要求による夜泣きでも、若い頃とは事情が異なることを理解してください。

対策

愛犬が自力でできなくなってしまったことを把握して、やりたいことや求めていることをサポートしてあげましょう。

どんなことを失敗しやすくなったのか、常日頃から愛犬の様子を観察して可能な範囲で応えてあげてください。

不安

原因

高齢になり聴覚や視覚が衰えてくると、見えない、聞こえない不安から、日常的に夜泣きをするようになってしまうこともあります。また、孤独感や体の不調から、精神的に不安定になる老犬も少なくありません。

対策

少しでも不安や孤独感を和らげるために、飼い主さんの声を聞かせたりにおいを嗅がせたりして、安心させてあげましょう。
飼い主の近くで寝せるのが一番ですが、それ以外に飼い主のにおいがついた物をそばに置くのも有効です。

寝床の不快感

原因

人間と同様、高齢になると筋肉量が低下したり睡眠時間が長くなったりすることで、思うように寝返り打てなくなり寝ている姿勢が辛くなることがあります。

対策

ある程度寝ている時間が長いと感じたら、飼い主さんの手で愛犬の体勢を変えてあげましょう。また、季節によって暑い寒いがあるので、室温を調整したりすることで、少しでも快適な環境を作ってあげてください。

場合によっては体調不良の可能性もあるので、異常を感じたら早急に動物病院に連れて行ってあげてください。

粗相

原因

老犬になると筋力の低下に伴い膀胱の収縮力が衰えるので、粗相が多くなります。

また腎機能の衰えにより排泄の回数が増えるため、夜中の排尿が増え粗相をしてしまい、お漏らしをした不快感から夜泣きをすることがあります。

対策

寝床をトイレの近くに設置するのも有効な対策です。また、おむつの着用を考えてもよいでしょう。

夜泣きを無視や放置してよい?

夜泣きしても無視されて不満げなコーギー
世の中には、「夜泣きは無視すべき」と書いてあるしつけ本もあるようですが、近隣への迷惑やうるさくて夜眠れないという問題を考えると、果たしてこの対応は正しいといえるのでしょうか。

また、夜泣きする愛犬の様子に、「何かしてあげなきゃ」とは思うものの、「どうしたらいいかわからない」という飼い主さんも少なくないでしょう。

無視や放置は良い?ダメ?

上述したように、犬の夜泣きは何らかの理由があって行う、犬にとって自然な行為です。

子犬や保護犬などでお迎えしたばかりだと、しつけとして無視しなければいけない場合もあります。けれども成犬や高齢犬では、無視や放置で夜泣きが改善することは基本的に考えられません。

夜泣きの原因を見極めたうえで、場合によっては獣医やブリーダーといった専門家に相談してください。

ワンちゃんの夜泣きは決して簡単な問題ではないので、一人で抱え込まないよう、周囲の助けを借りることもたいせつです。

子犬を見てみる