保護犬の殺処分ゼロを目指して、私たち一人ひとりができる取り組み

野良犬を見かけなくなったのはどうして?時代の背景

犬
photo by Free-Photos

その昔――昭和の時代にはよく見かけた野良犬(野犬)も、平成を経て令和になった現在は見かけることがなくなりました。少なくとも、市街からは消えたといってもいいでしょう。おそらく、一定の年齢以下であれば、一度も野良犬を見たことがないという人も珍しくはないと思います。

野良犬は、飼い主のいない野生化した犬です。
法律では、犬を飼う際の登録が義務付けられています。そのため、餌を与えてしつけをするなどの面倒を見ていても、登録がなければ飼い犬とは認められず、野良犬として扱われてしまいます。
つまり、「野良犬=登録されていない犬」ということになるのです。

では、昔は珍しくなかった野良犬は、現在どうして見かけなくなったのでしょうか?
その理由と、時代の背景を紹介していきます。

野良犬がいなくなった理由

いわゆる野良犬は、そのほとんどが元々飼い犬だったものの、飼いの勝手な都合で飼育を放棄された捨て犬です。そのため、我々がイメージする野犬――元から野性の犬というのは、実際には存在しないといっても過言ではありません。

そう聞くと、野良犬が見られなくなった現在は、「捨て犬がいなくなった」と考えることができるでしょう。しかし、これは間違いです。もちろん、昔に比べて安易な繁殖が減ったこともあり、近年は捨て犬の保護件数は昔に比べ大きく減少していますが、完全にゼロになったわけではありません。

結論として、捨てられた犬は早い段階で保健所や動物保護センターに保護(捕獲)されるので、見かける機会がなくなったのです。

例えば、子どもが野良犬を拾って、人知れず餌を与えて面倒を見ていたとしても、それは飼い犬ではなく野良犬と見なされます。こうした野良犬は、「狂犬病予防法第6条」に基づき、保健所や動物保護センターが積極的に保護しているのです。
これが、現在野良犬を見なくなった理由になります。

日本でも野良犬が多い地域はまだある?

近年まで野良犬がいた地域と改善への取り組み

犬
photo by b398

このように、市街地では野良犬を見かけることはほとんどなくなりましたが、一部地方では、ごく最近まで野良犬に関する事件がニュースで取り上げられていました。

例えば、山口県周南市では、むやみな餌やりにより野犬が自然繁殖し公園や通学路で頻繁に見かけられたという報告が、ネットに上がることがありました。

また、兵庫県の淡路島の山中には野犬が確認されており、道路で車にぶつかったり家畜の餌を食べるなどの被害がでました。

これらは、共に2010年代のできごとで、決して昔のことではありません。
しかし、行政の取り組みにより、確認された問題に関しては対策が取られ、現在は解決に向け、周辺は落ち着きを取り戻しているそうです。

保護された犬が殺処分されてしまうという事実

捨て犬が減り、街中で野良犬を見なくなった理由はお分かりいただけと思います。
では、保健所やセンターに保護されたワンちゃんはどうなってしまうのでしょうか?
結論として、ほとんどの犬が「殺処分」という結末を迎えてしまいます。

保護された犬たちは、保健所やセンターごとに定められた日数以内に飼い主があらわれなければ、殺処分の対象となり安楽死のためにガス室に送られます。
端的に説明するなら、「ペットを捨てる=死」を意味するのです。

殺処分されているワンちゃんは年間でどれくらいか

では、年間の殺処分数はどれくらいなのでしょうか?

「環境省自然環境局」が作成した「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」によると、平成29年度に殺処分された犬の数は、8,362匹。うち、子犬は1,665匹となっています。

この数字を多いと見るか、少ないと見るかは人それぞれでしょう。しかし事実として、たった1年の間にこれだけの数のワンちゃんが捨てられ、処分されていることを、私たちは知っておく必要があります。
参考 統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」環境省自然環境局

国内、海外での殺処分ゼロへの取り組み

ワンちゃんの殺処分は大きな問題として取り上げられ、多くの団体や自治体で「殺処分ゼロ」を目標とした活動が進められています。中には、実際に殺処分されるワンちゃんを減らした実績がある自治体も存在し、この目標が決して無理ではないことが分かります。
以下に、殺処分ゼロに向けた取り組みの一部をご紹介します。

<国内の取り組み>
・青森県 女子高生たちが動き出した「命の花プロジェクト」
2012年から始められたこの「命の花プロジェクト」は、本来はゴミとして廃棄される殺処分されたワンちゃんの遺骨を砕いて土に混ぜ、その土で花を育てるという取り組みです。
せめて土に還してあげたいという、女子高生たちの想いから始まりました。

・神奈川県 犬・猫の殺処分ゼロを継続中
2008年に策定された、「神奈川県動物愛護管理推進計画」を機に、動物愛護団体との連携により始められた殺処分ゼロへの取り組みです。これにより、神奈川県では2013〜2016年の4年連続で犬の殺処分ゼロを達成しました。
現在は計画をさらに推し進め、「処分するための施設から生かすための施設へ」の転換が進められています。

・札幌市 販売の現場から現状を変える「8週齢規制」
札幌市は、「ペットショップなどで販売される子犬・子猫を生後8週間は引き離してはいけない・販売してはいけない」という「犬猫の8週齢規制」を掲げました。これは、殺処分問題とは直接関係しないものの、ペットを守るための第一歩といえる取り組みです。
こうした活動が功を奏したのか、2014年から札幌市での犬の殺処分数はゼロとなっています。

・熊本市 殺処分ゼロに乗り出したセンター職員
平成13年に熊本市動物愛護センター所長になった淵邊さんが、殺処分を減らすために「動物愛護推進協議会」を結成。「獣医師会」「ペット業界」「動物愛護団体」から計25名が参加しました。
こうした取り組みから、熊本市では2014年から1年7ヶ月の間、熊本市動物愛護センターにて犬の殺処分ゼロを達成。熊本地震の影響により、被災犬や迷子の犬が増加してしまったため、記録は中断しましたが、殺処分問題にいち早く取り組んだ功績は全国へと伝わりました。

<海外の取り組み>
ペット先進国といわれるドイツでは、「犬の殺処分ゼロ」といわれています。
その秘密は、「ティアハイム」という、日本でいう動物愛護センターの存在です。このティアハイムは、企業や市民からの寄付金で成り立っている施設で、行政との関わりは一切ありません。そうした施設が、ドイツ国内には500ヶ所以上存在しており、ここに保護されたワンちゃんの実に9割が、新しい飼い主に引き取られていきます。
役割は動物愛護センターですが、実際のイメージはペットショップのように清潔な、管理された施設とのことです。

こうした取り組みは、人とワンちゃんの関係が非常に近しいドイツならではといえるでしょう。現在の日本に当てはめると、まるっきり同じことをするのは難しいと思いますが、ワンちゃんを愛する者として、この姿勢は見習っていきたいですね。

私たち一人ひとりができること

犬
photo by buchsammy

ペットブームにより多くの人が新しくワンちゃんを飼い始める裏で、捨て犬や迷子犬など、保護されたワンちゃんが殺処分されるという現実があることは理解していただけたと思います。
では、殺処分を少しでも減らすために、個人レベルでできる取り組みは、何かないのでしょうか?
ここでは、ワンちゃんたちのために、私たち一人ひとりができることを紹介していきます。

現在ワンちゃんを飼っているなら

あなたがワンちゃんを飼っているのなら、守るべきポイントは
・捨てない
・迷子にさせない
・しつけを怠けない
・繁殖しない
の4つです。

まず守るべきは、当然のことですが「捨てない」ということ。
善良な飼い主からすればあり得ないことですが、一定数のこうした人がいるのは事実です。飼い主として、最期の一瞬まで一緒にいて面倒を見てあげてください。法律で罪になるとかではなく、一度命を預かった者として当然の心掛けです。

次に、「迷子にしない」ようにしましょう。
これは、捨てるのとは違い不可抗力な部分でもありますが、飼い主の備え次第で防ぐ方法はあります。基本的に外出時にハーネスやリードを装着して、万が一の備えとして、
・迷子札、犬鑑札を付ける
・マイクロチップの登録
をしておけば、飼い主の元へ戻る確率が格段に上がります。

このほか、しつけも大切です。
しつけができていないと、近隣住民に迷惑をかけることになり、あまりにも度が過ぎると自治体に引き取られることもあります。しつけは、周囲への配慮であるとともに、自らの身を守るために必要なマナーです。愛犬だけでなく、飼い主自身もマナーを守ることが求められます。

最後に、無闇に繁殖させないことも、飼い主としての責務です。
ワンちゃんは、1回の出産で4~5頭産むことも珍しくありません。プロのブリーダーでもない限り、全ての子犬を育てるのも里親を探すのも、とても大変なことです。そのためワンちゃんを飼う際は、必ず避妊・去勢手術を行ってください。
様々な意見はありますが、こうした心掛けが最終的に殺処分を減らすことにつながるのです。

これからワンちゃんを飼いたいと考えているのなら

ワンちゃんを飼うということは、1つの命を預かり育てるということです。
だからこそ、ただ「かわいいから」という理由だけで飼うのではなく、生活を変える覚悟を持って迎えるようにしてください。

10年以上飼い続けることができるか、毎日欠かさず世話ができるかなど、少しでも無理と思ったのなら、それは飼うべきタイミングではありません。環境や心構えなど、自分で大丈夫と思えるようになってから飼っても、決して遅くはありませんよ。

ワンちゃんは飼えないけど、できることはある?

殺処分の問題を知って、「自分も何かしたい!」と思った方は、ボランティアに参加するのもいいかもしれません。直接ワンちゃんを迎える方法以外にも、殺処分を減らすためにできることがあるという事実を知って、ぜひ行動に移してください。

以下に、代表的なボランティアを幾つか簡単にご紹介したいと思います。

・犬のお世話
保護団体でワンちゃんのケージの掃除や食事の準備、散歩などのお世話をするボランティアです。ワンちゃんと直接触れ合う機会があります。

・イベント
保護団体の譲渡会やフリマでサポート業務を行うボランティアです。接客経験がある人に向いているお仕事です。

・事務
保護団体で事務作業のお手伝いをするボランティアです。書類の整理やSNSの更新など、幅広い仕事があります。ワンちゃんのお世話で事務作業が滞ることがあるので、募集は多いと思われます。

・預かり
保護団体からワンちゃんを預かるボランティアです。一時的とはいえ、実際にお世話をすることになるので、これから飼おうと思ってる人にとっては予行演習になるかもしれません。

まとめ

ヨークシャーテリア
photo by Liza

行政や団体の取り組みで、殺処分は少しずつ減少しています。
しかし、殺処分という悲しみをなくすためには、一人ひとりがペットの命について考え、行動しなければなりません。本来目指すべきは、殺処分ゼロではなく、「収容数ゼロ」「保護犬ゼロ」という、全てのワンちゃんが不幸にならない状態でしょう。

現状、日本ではペットショップから子犬を迎えることが珍しくありませんが、世界的に見ても、今後ペットショップでの生体販売はできなくなっていくことが予想されます。
そうなると、今後は実際に子犬を育てているブリーダーから迎えることが一般的になっていく時代がくるかもしれませんね。

ブリーダーナビは安心価格と取引保証で、掲載されているワンちゃんの頭数も本最大級の子犬販売サイトです。
子犬をお探しなら、優良ブリーダーが手掛けた子犬をたくさん掲載しているブリーダーナビを、ぜひ一度ご覧ください。

子犬を探す

    株式会社アニマライフ ブリーダーナビ事務局

  • LINEで子犬探しを相談できる

    LINEでブリーダーナビがあなたにぴったりの子犬をお探しいたします。気軽にご相談くださいね。

  • 03-6671-9287

    受付時間:平日10:00~16:00

    (年末年始・夏季休暇除く)

  • dog-breeder@animalife.jp

    dog-breeder@animalife.jp

    ※メールでのお問い合わせの際は、確実に受信できるようにするため、パソコンのメールアドレスからの問い合わせを推奨しております。