愛犬を守るための早期対応を!予防できない先天性の病気は検査が必須

犬の先天性異常と遺伝性疾患を知ろう

寄り添う犬
photo by sdnet01

現在、日本は空前のペットブームといわれており、ワンちゃんだけでもおよそ900万頭
が飼育されているというデータがあります。参考:平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査 結果

しかし、このブームの裏で問題も少なくありません。
今回はそうした問題の1つである、遺伝性疾患について解説していきたいと思います。

先天性異常とは

先天異常とは、「染色体や遺伝子の異常」「感染や薬などの環境的要因」により生じる、生まれつきの異常です。
形の異常を「奇形」といい、外見的な「外表奇形」と、内臓の「内臓奇形」があります。また、形が正常なのに機能に異常がある「先天代謝異常」なども、先天性異常に含まれます。

現状、まだまだ研究段階であり、判明していない部分も多いのですが、染色体や遺伝子の異常により、先天性異常の胎児が生まれてくる確率は1〜2%といわれています。

遺伝性疾患にはどんなものがあるの?

遺伝性疾患とは、先天性異常の一種で、染色体や遺伝子の変異によって起こる病気です。
遺伝性疾患は、「単一遺伝子疾患」「多因子遺伝」「染色体異常症」の3種類に分類されます。

現状、遺伝性疾患の内、数種類の疾患しか検査することができず、仮に遺伝子検査が充実したとしても、解決できない異常も少なくはありません。遺伝性疾患は予防することもできないので、遺伝性疾患を持った個体の繁殖を制限することが、最も有効な手段となっています。事実、イギリスやアメリカでは、個体識別に加え、遺伝性疾患減少のために、遺伝子検査のデータ登録が行われています。

代表的な遺伝子疾患とかかりやすい犬種

抱っこさえれるフレンチブルドッグ
photo by Pexels

遺伝性疾患についてある程度理していただいたところで、代表的な疾患と患いやすい犬種を紹介していきます。ここで紹介している疾患は、遺伝性疾患の中でも代表的なもので、すべてを紹介できているわけではないことをご理解ください。

進行性網膜萎縮症(PRA)

目で見た映像を電気信号に変換する網膜という部分が変性する疾患で、光を完治する能力が弱くなり徐々に視力が低下し、最終的に失明に至ります。
物にぶつかったり、つまずきやすくことが多くなったら、この病気を疑いましょう。二次的に、白内障を併発することもあります。遺伝性の病気なので、明確な治療方法はありません。
多くの犬種でみられ、犬種により発症時期などが異なります。

<かかりやすい犬種>
■アメリカン・コッカー・スパニエル   
■シーズー 
■シュナウザー (ミニチュア)
■ダックスフンド(ミニチュア)
■パピヨン 
■プードル(トイ、ミニチュア)
■ヨークシャー・テリア
■ラブラドール・レトリーバー

遺伝性白内障

白内障とは、目のレンズである水晶体が白く濁ってしまう目の病気です。正常であれば無色透明で光を透過する水晶体が光を通さなくなるので、視力が低下し進行すると視力を失います。
遺伝性白内障は、多く見られる加齢性のものとは異なり、遺伝的要因により発症する白内障です。そのため、生後数ヶ月から数年という、年齢的にまだ若い時期に発症します。

<かかりやすい犬種>
■アメリカン・コッカー・スパニエル
■ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
■キャバリア・キングチャールズ・スパニエル
■ビーグル
■プードル(トイ)
■フレンチ・ブルドッグ 
■ブル・テリア
■ボストン・テリア

コリーアイ/コリー眼異常(CEA)

コリーアイ/コリー眼異常は、主にコリーと名のつく犬種にみられる目の疾患で、目の組織に異常が起こることで、視力障害から失明まで様々な症状が現れます。
早ければ生後4週齢~2ヶ月齢に発症し、視力障害からそのまま失明に至ることも。中には1歳以降で発症し、症状が進行しないままというケースもあり、個体によって症状が異なります。

<かかりやすい犬種>
■オーストラリアン・シェパード
■コリー(ラフ、スムース)
■シェットランド・シープドッグ
■ボーダー・コリー

フォンビルブランド病(VWD)

フォン・ヴィレブランド因子というコラーゲン血小板の橋渡し役をする因子の、量の低下・機能の異常により、血が止まりにくくなる血液の病気です。傷を負った時の過度の出血や、粘膜からの異常な出血がみられます。

<かかりやすい犬種>
■ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
■シェットランド・シープドッグ    
■スコティッシュ・テリア 
■ドーベルマン
■バーニーズ・マウンテンドッグ 
■プードル(トイ、ミニチュア、スタンダード)

イベルメクチン中毒

イベルメクチンとは、アメリカの製薬会社によって開発された寄生虫駆除薬で、ワンちゃんのフィラリア予防薬として知られています。コリー系を始めとした一部の犬種は、遺伝的に、このイベルメクチンの毒性効果に異常に反応してしまうことが判明しています。
症状として、散瞳、沈うつ、振戦、盲目、運動失調、呼吸低下、昏睡などが現れ、最悪死に至ります。

<かかりやすい犬種>
■オーストラリアン・シェパード
■コリー(ラフ、スムース)
■シェットランド・シープドッグ
■ジャーマン・シェパード
■ボーダー・コリー

シスチン尿症

本来腎臓で再吸収される、シスチンというアミノ酸が再吸収されることなく尿中に排泄されてしまう遺伝性疾患です。シスチンの尿中排泄が増加すると、腎臓や膀胱でシスチン結石が形成される確率が上昇してます。結石は膀胱炎や尿道閉塞を引き起こす原因となり、最悪腎不全や膀胱破裂で死に至ることもあります。

<かかりやすい犬種>
■イングリッシュ・ブルドッグ
■ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
■ニューファンドランド 
■バセット・ハウンド

骨形成不全症

骨形成不全症は、コラーゲンの異常もしくはコラーゲン結合蛋白の異常により、全身の骨密度が低下し非常に骨折しやすくなる遺伝性疾患です。少しの負荷でも簡単に骨折してしまい、多発性骨折を起こす可能性があります。また、骨折後の癒合も悪く、骨が変形して湾曲することもあります。

<かかりやすい犬種>
■ゴールデン・レトリーバー
■ダックスフンド
■ビーグル

発作性睡眠(ナルコレプシー)

ナルコレプシーは、日本語で居眠り病とも呼ばれる、本来の睡眠時間ではない日中に強烈な眠気に襲われる睡眠障害です。眠気は場所や状況を選ばず日中に起こり、その反面、夜中の睡眠は浅くなりやすく夢を見る回数が増えます。ワンちゃんの場合、強い感情に伴い全身または膝や腰などの筋肉が突発的に弛緩する、カタプレキシーという脱力発作が現れます。
遺伝病として原因遺伝子が特定されており、非遺伝性(=弧発性)のタイプの存在も認められています。

<かかりやすい犬種>
■ダックスフンド(ミニチュア)
■ドーベルマン・ピンシャー    
■ラブラドール・レトリーバー

重症複合免疫不全症

免疫不全は、先天性と後天性に大別され、後天性で知られているのがAIDSです。
先天性の免疫不全は、免疫細胞が正常に成熟しないために起こります。重症複合免疫不全症は、抗体の量が少なくT細胞が欠如する免疫不全症で、死に至る可能性がある免疫不全疾患です。
子犬の場合、生後6~8週齢に母犬から受け継いだ免疫が落ちるため、細菌やウイルスに感染し易い状態となります。
多くの遺伝子が突然変異を起こすことで発症し、膿皮症や歯肉炎、口内炎など感染症の悪化により2~4ヶ月齢で死亡します。

<かかりやすい犬種>
■ウェルシュ・コーギー・カーディガン      
■ジャック・ラッセル・テリア
■バセット・ハウンド

周期性好中球減少症(グレーコリー症候群)

毛の色がグレー、シルバーなど灰色系のコリーに発症する、造血機能障害から白血球のひとつである好中球が減少する病気です。生後2~6ヶ月齢で発症し、発熱や食欲低下、結膜炎などの症状が現れ、最終的に敗血症や肺炎など併発して多くの場合数ヶ月で死亡します。
21日周期で造血抑制が起こり、全ての血球が減少します。

<かかりやすい犬種>
■コリー
■ボーダー・コリー

ホスホフルクトキナーゼ欠損症

赤血球内に含まれるホフホフルクトキナーゼという酵素が欠損し、血管や脾臓などで赤血球が破壊され溶血性貧血を起こす疾患です。症状は生後5ヶ月頃から現れ、血管内溶血により尿中に血色素が排出される血色素尿や黄疸がみられるようになります。
特に激しい運動後や高温環境では症状が激しくなります。
有効な治療はなく、生涯にわたって血色素尿は持続しますが、命に関わる病気ではないと言われています。

<かかりやすい犬種>
■アメリカン・コッカー・スパニエル
■イングリッシュ・コッカー・スパニエル 
■イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
■ウィペット

ピルビン酸キナーゼ欠損症

ピルビン酸キナーゼ欠損症は、ピルビン酸キナーゼという体内のエネルギーの保存に働きかける酵素が不足することで、赤血球が壊れてしまい貧血が起こる病気です。生後6ヶ月齢頃までに発症し、貧血から鉄の組織への沈着により肝不全が起こり、ほとんどの場合4歳頃までに死亡します。ワンちゃんでは非常に稀な病気です。

<かかりやすい犬種>
■ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
■ケアーン・テリア
■バセンジー
■ビーグル

セロイドリポフスチン症(CL症)

本来分解されるべき物質が蓄積してしまう「ライソゾーム病」の一種で、脳内の老廃物を除去する酵素が欠損することで、老廃物が蓄積し続け中枢神経障害を起こしてしまう神経変性疾患です。症状として、「運動障害」「知的障害」「視力障害」が現れ、症状が進行すると死に至ります。
生後およそ1歳半~2歳頃までに発症し、多くは2歳半頃までに死亡します。

<かかりやすい犬種>
■アメリカン・ブルドッグ
■イングリッシュ・セッター
■ダックスフンド(ミニチュア)
■ボーダー・コリー

GM1ガングリオシドーシス

セロイドリポフスチン症(CL症)と同じく「ライソゾーム病」の一種で、GM1ガングリオシドが中枢神経系に蓄積し、結果として神経症状や運動失調を起こす疾患です。生後5~6ヶ月齢で発症し、麻痺や四肢の緊張性硬直から立ち上がることができなくなり、角膜の混濁による視覚障害も起こります。
終末期には呼びかけに無反応になる、眠り続けるといった状態になってしまい、1歳前後で寝たきりに、生後1歳半頃までに死亡します。

<かかりやすい犬種>
■柴犬

グリコーゲン貯蔵症(糖原病)

同じく「ライソゾーム病」の一種で、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを分解する酵素が欠損し、異常なグリコーゲンの蓄積が起こる遺伝性の疾患です。肝臓や筋肉などの組織にグリコーゲンが異常に蓄積することで、進行性の全身性筋虚弱や肝腫大、腎肥大、巨大食道症、高脂血症などの症状が現れます。

<かかりやすい犬種>
■ポメラニアン
■マルチーズ

ムコ多糖症タイプⅢA

同じく「ライソゾーム病」の一種で、ライソゾーム内の加水分解酵素の欠損または異常により、全身の細胞にムコ多糖が蓄積する先天代謝異常症です。心身の発育不良、骨や軟骨の形成障害、水頭症などを引き起こし、臓器障害、痙攣発作などの症状が現れます。
3歳頃から後肢麻痺などの神経症状が現れはじめ、1~2年かけて徐々に症状が進行し最終的に運動失調をきたします。

<かかりやすい犬種>
■ダックスフンド

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん、HD)

発育の段階で股関節が形態的な異常を起こし、骨と骨が噛み合わなくなることで起こる病気です。両側、または片側の股関節に症状が現れ、特に大型犬や超大型犬での発症が多くみられます。
生後 4~12 ヶ月頃に確認されることが多く、特徴的な歩き方をしたり走るのを嫌がったりします。

<かかりやすい犬種>
■アラスカン・マラミュート
■ゴールデン・レトリーバー
■ラブラドール・レトリーバー などの大型犬

水頭症

水頭症は、脳内の圧力が異常に高まることによって、様々な神経症状を示す脳の病気です。何らかの原因により脳脊髄液が増えることで脳室が大きくなり、脳が圧迫されることによって起こります。
ワンちゃんが水頭症になると、頭部がドーム上に膨らんだり外腹側斜視になったりと、外見的にも変化が現れます。

<かかりやすい犬種>
■チワワ
■トイ・プードル
■パグ などの小型種・短頭種

特発性(真性)てんかん

てんかんとは、発作的に繰り返される全身性のけいれんや意識障害を主な症状とする脳疾患です。ワンちゃんが患うてんかんは、脳の構造には何も障害がないのに発作が起こる原因不明のものになります。
5歳齢になるまでみられないこともありますが、生後6ヶ月〜3歳の間に初めて発症することが多いようです。

<かかりやすい犬種>
■ゴールデンレトリバー
■コリー
■ジャーマン・シェパード・ドッグ
■セント・バーナード
■ビーグル
■ボクサー
■ミニチュアダックスフンド
■ラブラドール・レトリーバー

遺伝子検査で愛犬の病気を調べよう

ゴールデンレトリーバー
photo by Chiemsee2016

ここまで紹介してきた遺伝性疾患を減らすためには、発症しない犬同士、もしくは発症していない家系を選び、繁殖させることが最も有効です。実際に、スウェーデンではこの取り組みを行ったことで、股関節形成不全の有病率を13 年間で半数に減少させることに成功しています。

遺伝病はまだまだ分からないことが多い領域です。それでも検査することで、犬種ごとにかかりやすい遺伝子疾患の原因因子を保持しているかどうかは判明します。ワンちゃんはブリーダーによって親が選ばれ子が生まれるため、原因因子を持っているか分かれば、繁殖時のリスク低減が期待できるでしょう。

遺伝子検査について、詳しくはこちらのページで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ

空前のペットブームの裏で、日本は世界でも犬の遺伝子疾患が突出して多い国といわれています。
先天的に、何らかの異常を抱えて産まれてくる子犬は、全体の1~2%。この数字だけみれば、多くないように思われますが、問題なのはこのほとんどが一部の悪質な人間の手によって生み出されていることです。

国外に目を向けると、欧米では遺伝性疾患を減少させるための、遺伝子検査のデータ登録が行われています。日本でもこうした取り組みを始めることが、ワンちゃんと人間の良好な関係を築くために必要となるでしょう。

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