ポメラニアンがかかりやすい病気は?骨や喉、脳の病気に注意

アロペシアX(脱毛症X)

「ポメラニアン脱毛症」という異名があることからも分かるように、ポメラニアンに多く発症する脱毛症で、皮膚病の一種です。1~4歳の去勢していないオスに多いといわれています。

<症状>
ポメラニアンは抜け毛が多い犬種ですが、この病気を患うと、体の一部から始まり頭と足を除いた全身の毛が抜けてしまいます。体幹部は完全に脱毛し、皮膚は黒ずみ(色素沈着)、弾力がなくパサパサとした状態になります。

ほかのホルモン性の脱毛症には見られない特徴として、外傷を受けた場所に限定して発毛する場合があります。

<原因>
名前に「X(原因不明)」が入ってくることからも分かるように、この病気の原因は解明されていません。現在の研究では、遺伝的な要因や内分泌ホルモン異常、ストレスなど様々な要因が考えられています。

<予防・治療>
原因が不明なので予防は困難です。そのため、早期発見、早期治療を心掛けるといいでしょう。日常的に愛犬とのスキンシップを図り、少しでも異常を感じたらすぐ動物病院を受診してください。

未去勢の場合は、去勢手術が有効なこともあります。
また、ホルモン剤の投与で毛の生える周期を整えるといった治療法もあります。

予防や治療ではありませんが、身体的な不調や命に関わる病気ではないので、美感上の問題と割り切って、良い意味で何もしないということも選択肢の一つになります。

斜視など見た目にも異変が生じる脳の病気

脳の病気は、人間だけでなくワンちゃんも患うことがあります。脳の病気の場合、他の箇所の病気と違い、一見関係がないようなさまざまな部位に症状が現れることを覚えておきましょう。

水頭症

脳脊髄液の循環が阻害されることで脳室に脳脊髄液が過剰に溜まってしまい、脳が圧迫されさまざまな脳障害を引き起こす病気です。
緊急性が高い病気ではないものの、長期的な治療や介護が必要となります。

<症状>
先天的な水頭症では、頭頂部の頭蓋骨が触れない、ドーム状の大きな頭、外斜視、発育不良といった、外観的な異常が多く見られます。

その他、脳の障害を受けた部位や程度、期間により、意識障害や神経障害、運動障害、視力障害などのさまざまな症状が現れるようになります。
脳の状態は水頭症の疑いがあるにも関わらず、無症状な場合も少なくありません。

<原因>
原因は、先天的なものと後天的なものがあります。
先天的な水頭症は、脳室系の奇形による発症が多く、脳腫瘍、外傷、髄膜脳炎などから二次的に発生する場合も。一方、後天的なものでは、脳の損傷や脳炎、脳腫瘍が原因で発症します。
稀に、脳の外側のクモ膜下腔に液体が貯留する【外水頭症】を発症する場合もあります。

<予防・治療>
これという予防方法はないので、早期発見・早期治療が重要です。

治療は、脳圧を下げる薬や、発作を抑える薬で症状を緩和する【内科的治療】と、手術による【外科的治療】があります。

内科的治療では対処できないほど重篤な場合、外科的治療が必要です。
「針を直接頭に刺して脳脊髄液を抜く」「脳室からお腹に余分な脳脊髄液を排出するための管を設置する」といった処置を行います。

肥満と勘違い?体型が変化するホルモン病

ワンちゃんが患う病気の中には、一見すると肥満と思う症状が現れるホルモン病もあります。安易に肥満と決めつけて間違った対応をすると、病気を長引かせることになります。少しでもおかしいと思ったら動物病院を受診しましょう。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

副腎から分泌される、代謝や免疫に働きかけるホルモン「コルチゾール」が過剰に分泌されることで、体に悪影響を与えてしまうホルモン病です。
ポメラニアンは特に注意が必要な病気で、5歳以上の中高齢犬に多く見られます。

<症状>
ホルモン病ということで、以下のようなさまざまな症状が現れます。

・多飲多尿
・腹部膨満
・毛や皮膚が薄くなる
・皮膚の色素沈着
・食欲異常
・筋力低下
・嗜眠
・血栓による呼吸困難
・突然死

この他、症状が進行すると免疫力の低下により、皮膚炎や膀胱炎などにかかりやすくなったり、糖尿病や尿路感染症などの病気を併発したりするので注意が必要です。

<原因>
コルチゾールが過剰分泌される原因は、以下の3つといわれています。

・副腎腫瘍
コルチゾールを分泌する副腎そのものが腫瘍化し肥大することで、コルチゾールが多量に分泌されてしまい発症します。

・下垂体依存性副腎皮質機能亢進症
ワンちゃんがクッシング症候群を発症する、最も多い原因です。
コルチゾールは、脳の下垂体で生成指示が出されます。下垂体に腫瘍ができることで誤った指示が出されてしまい、コルチゾールが過剰に分泌され症状が現れます。

・医原性副腎皮質機能亢進症
何らかの病気の治療のために、ステロイドを長期間、多量に投与すると、体内にコルチゾールが増え過ぎてしまい発症します。

<予防・治療>
決定的な予防法はないので、日頃から愛犬をよく観察したり定期的に検診を受けたりすることで、早期発見・早期治療を心掛けましょう。

原因によって、治療は内科的治療と外科的治療に分けられ、内科的治療は投薬が中心で、外科的治療は腫瘍の切除を行います。また、場合によって放射線療法を行う可能性もあります。

命に関わる心臓の病気

加齢により心臓に負担がかかるのは人間もワンちゃんも同じです。特に、ポメラニアンのような小型犬は心臓の大きさも小さいため、中型・大型のワンちゃんに比べて注意しなければなりません。

弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)

最もワンちゃんが患いやすい心臓病で、左心房と左心室の間にある弁が閉じなくなり、血液が逆流してしまう病気です。
ポメラニアンのような小型犬や老犬に多く見られます。

<症状>
初期段階では症状が現れません。病気が進行していくことで、次第に「運動を嫌がる」「ゼーゼーと咳をする」「息がつかえる」「興奮時や激しい運動時に倒れる」などの症状が現れるようになります。

重篤化すると「肺水腫」「呼吸困難」「チアノーゼ」といった症状を起こし、命を落とす可能性もある危険な病気です。

<原因>
僧帽弁が変性する原因は明確になっておらず、小型犬の場合は遺伝的な要因が疑われます。また、加齢により弁の噛み合わせが悪くなることも原因となります。

<予防・治療>
加齢によりリスクが上昇する病気なので、決定的な予防方法はありませんが、「肥満や塩分の多い食事を避ける」といった心臓への負担を減らすことや、「定期的に検診を受ける」ことが予防につながります。

治療方法は症状により異なりますが、主流となるのは投薬による内科的治療で、食事療法との併用で心臓への負担を抑えます。
近年は、手術により僧帽弁の修復を行う外科的治療を行うケースも増加傾向にあります。

まとめ

ポメラニアンは遺伝性の病気などになりにくく、他と比較しても丈夫で健康な犬種といえるでしょう。とはいえ、あくまでも「比較的なりにくい」だけで、患う可能性が高い病気もあることを覚えておく必要があります。

大切なのは予防と早期発見・早期治療です。
愛犬に健康的な生活を送らせることを心掛けるとともに、生活の様子を常に観察して、少しでも違和感があれば動物病院を受診してみるといいでしょう。

下記ページでは、ポメラニアンの飼い方について詳しく解説しています。基本的な飼い方を理解することで、愛犬の体調不良などの異常に一早く気付けるようになるでしょう。
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ブリーダーは、扱う犬種の専門家です。そのため、どんな病気になりやすく気を付ければいいのか、相談することで事前の備えを知ることができるでしょう。そのため、これから迎えるワンちゃんの健康を考えれば、ブリーダーから迎えることをおすすめします。

ブリーダーからポメラニアンを迎えたいと思った方は、一度犬舎見学に行かれてはいかがでしょうか。下記の「子犬を探す」からもワンちゃんたちをご覧いただけますよ。

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