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ワクチンは絶対必要なの?

犬のワクチンには、接種が義務の『狂犬病ワクチン』と任意の『混合ワクチン』の2つがあります。

『狂犬病ワクチン』は、年に1回の接種が法律で義務付けられています。

『混合ワクチン』は義務ではないものの、命に関わるような病気に感染するリスクを大きく減らすことができるため、接種を強く推奨されています。またペットサロンやドッグラン、ペットホテルなど不特定多数の犬が利用する場所では、感染を防ぐため狂犬病だけでなく混合ワクチンの接種証明書の提示を求められることが多いです。愛犬だけでなく周囲の犬の命を守るために、狂犬病ワクチン、混合ワクチンの両方を接種することが望ましいでしょう。
記事の監修:獣医師・ライター 平松育子
山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。皮ふ科と内科、予防医療に注力する。
日本獣医がん学会、日本獣医皮膚科学会所属。

2023年にふくふく動物病院を閉業し「アイビー・ペットライティング」を立ち上げ。
ライターというかたちで、生涯飼い主さまやペットたちとつながっていきたいと思います。



(アイビー・ペットライティング 代表)

子犬のワクチンは何のために打つの?

死にも至る恐れのあるさまざまな病気が存在し、それらを予防するためにワクチン接種が必要です。
特に生後1ヶ月半から生後3ヶ月頃の子犬は、母犬の初乳に含まれる抗体(移行抗体)が徐々に減っていくことから、伝染病や感染症などの病気を発症するリスクが高まります。

もちろん子犬に限らず、愛犬がワクチン接種することで予防できる病気にかからないためにも、犬たちに感染する可能性がある伝染病の蔓延を防ぐためにも、犬へのワクチン接種は非常に重要なのです。

ワクチンには、法律で義務付けられている『狂犬病予防接種』の他、義務ではないものの接種すべきと考えられている 『コアワクチン』『ノンコアワクチン』、また推奨されていない『非推奨ワクチン(犬コロナウイルス)』があります。

コアワクチン

致死率が高い病気に対するワクチンのこと。
犬の場合「犬ジステンパーウイルス」「犬アデノウイルス」「犬パルボウイルス」などがこれにあたります。


ノンコアワクチン

ライフスタイルなどにより、感染リスクの高い犬が接種を行うワクチンです。免疫が持続しないため毎年の接種が必要です。
犬の場合「犬レプトスピラ症」「犬パラインフルエンザウイルス」がこれにあたります。

狂犬病とは

狂犬病は「狂犬病ウイルス」によって引き起こされる感染症であり、私たち人間を含めた全ての哺乳類が感染する恐れのある病気です。

感染経路は、感染した動物の唾液を経由して傷口などから侵入します。人から人への感染に関しては、臓器移植による感染の報告が確認されていますが非常にまれなケースと言えます。また、輸血により感染したという報告はありません。

狂犬病ウイルスは感染すると筋肉から神経に入り込み、最終的には脳までウイルスが到達し、脳の中枢を破壊して死に至らす恐ろしい病気です。一度発症してしまうと人間を含め、全ての動物が100%死亡するともいわれています。

ただし、予防することで発症を防ぐことができる病気です。

だからこそ、日本では法律で狂犬病ワクチン接種が義務化されているのです。

絶対に打たないといけないの?

ワクチンをうつ犬

狂犬病ワクチンに関しては「狂犬病予防法」により、生後91日齢以上のすべての犬に年1回のワクチン接種が義務付けられています。つまり、犬を飼ったら絶対に打つ必要があるということです。

他のワクチンについては法律で定められてはいないものの、感染率や感染後の致死率などから、全てのワンちゃんに接種することが強く推奨されています。

なおトリミングサロンを始め、ドッグランやペットホテルなどの施設では伝染病予防、衛生管理の観点から混合ワクチンの接種証明を求められることが多いです。愛犬と色々な場所にお出かけをするためにも、そして伝染病から愛犬を守るという意味でも、ノンコアワクチンまで接種することが望ましいといえるでしょう。

いつ何回打つの?

一般的に混合ワクチンは3回打つことが必要といわれています。
子犬の場合、初年度は8週齢ぐらいで混合ワクチンの1回目接種を行い、3週間間隔で3回目まで接種します。

それ以降に関しては、ワクチンの効果を持続させるため、誕生日ごとに年1回接種を行うのが一般的です。

世界小動物獣医師会(WSAVA)でのガイドラインではコアワクチンは3年に1度の接種で感染防御が可能であるとしていますが、ノンコアワクチンにはこの考えは適用されていません。

また、抗体価が持続しているかどうかは個体差があり、抗体価測定を行わないとワクチン接種実施の可否については不明です。
接種の時期が来たら、かかりつけの獣医師に相談しましょう。

ワクチンが必要な病気とは?

コアワクチンで予防ができる病気

混合ワクチンの中で、特に接種が強く推奨されているのが「コアワクチン」です。
コアワクチンは接種することで、次のようなウイルスに効果が期待できます。

犬ジステンパーウイルス感染症

犬ジステンパーウイルスは鼻水、目やに、尿などに含まれ排泄されます。
症状は「発熱」「下痢」「鼻炎」「結膜炎」「呼吸器や消化器の障害」「ハードパット」などがあり、神経症状を引き起こす場合があります。初期症状はカゼに似ているため、わかりにくい場合があります。

特にワクチン未接種の子犬の場合、急激な症状が起きることがあり、発症すると死亡する確率が非常に高い病気です。空気感染するため、容易に感染する傾向がありますので、十分な注意が必要です。

犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス1型)

イヌアデノウイルス1型が原因で引き起こされる病気です。

感染している犬の唾液や尿などの分泌液が他の犬の口に入ることで「発熱」「腹痛」「嘔吐」「下痢」などを引き起こします。

特に肝炎は症状に気付きにくいため、ワクチン未接種の子犬の場合、急激に具合が悪くなり死に至ることがあるので警戒が必要です。

犬アデノウイルス2型感染症

「ケンネルコフ」の原因となるウイルスの1つで、乾いた咳をするのが特徴の病気です。

感染力の強い呼吸器の病気とされ、乾いた咳以外にも「くしゃみ」「鼻水」「発熱」「食欲不振」などの症状が見られます。

他のウイルスとの混合感染によって症状が重くなることがあり、肺炎を引き起こしたり、死亡率が高くなったりすることがあります。

犬パルボウイルス感染症

感染している犬の便などに含まれているウイルス。口や鼻から取り込んでしまうことで、感染を引き起こしてしまいます。

症状は「激しい下痢」「嘔吐」「血便」などの消化器症状を始め、重度の脱水や食欲不振、白血球の減少、心筋炎などを伴うことがあります。

ワクチン未接種、またはワクチンプログラムが完了していない子犬やシニア犬が感染すると、死に至る恐れがある非常に恐い病気の1つです。

ノンコアワクチンで予防ができる病気

ライフスタイルなどにより感染リスクの高い犬に接種を行う「ノンコアワクチン」は次のウイルスに効果が期待できます。

犬パラインフルエンザウイルス感染症

呼吸器系のウイルスといわれ、犬にケンネルコフを引き起こす原因となりうるウイルスの1つです。
非常に感染力が高いため、犬同士が接近している状況で発症するといわれています。

症状は「乾いた空咳」「鼻水」「発熱、高熱」「くしゃみ」「目の炎症」を始め、食欲不振や元気消失、無気力になります。

犬パラインフルエンザウイルスのみの感染の場合症状は軽いといわれていますが、他のウイルスや細菌と混合感染してしまうと、重症化する場合があります。

犬レプストピラ感染症

感染した野生動物の「尿」で汚染された下水や河川、泥などから感染する病気です。

症状は風邪のようなものから、肝炎や腎炎など重症化することもあり、感染するレプトスピラの型によって症状が大きく異なります。なかには、高熱、黄疸、出血などが起こり亡くなる場合もあります。

都心部でも発症例があることに加え、人間にも感染するリスクがあるため注意が必要です。お住まいの地域の発生状況などを踏まえ、かかりつけの獣医師に確認することをおすすめします。

犬コロナウイルス

保菌している糞便を犬が口にすることで感染する病気です。

症状は「下痢」「嘔吐」「脱水」「食欲不振」「元気消失」などが挙げられます。

症状は比較的軽いことが多いですが、子犬の場合症状が強く出ることが多く、他のウイルスと併発すると脱水症状を引き起こすなど、命の危険を伴う場合があります。

犬の混合ワクチン種類と値段

犬の混合ワクチンには、2~11種類までと幅広いのが特徴です。

前述した「コアワクチン」を全て接種できるのは、5種以上の混合ワクチンになります。そのため一般的な動物病院では、5〜8種のワクチンが準備されていることが多いです。

5種混合ワクチンで予防できる病気
  • 犬ジステンパーウイルス感染症
  • 犬伝染性肝炎
  • 犬アデノウイルス2型感染症
  • 犬パルボウイルス感染症
  • 犬パラインフルエンザウイルス感染症

そして混合ワクチンの種類が増えると、予防できる病気もその分増えることとなります。具体的には以下のような病気を予防できるようになります。
  • 犬コロナウイルス感染症
  • 犬レプストピラ(イクテモヘモラジー)
  • 犬レプストピラ(グリッポチフォーサ)
  • 犬レプストピラ(カニコーラ)
  • 犬レプストピラ(ポモナ)
  • 犬レプストピラ(ヘブドマディス)

どのワクチンでどの病気を防ぐことができるかは、以下の表をご覧ください。なお動物病院によって異なることもあるので、実際にワクチンを打つタイミングになったら獣医師に確認しましょう。
ワクチン種類
何種類のワクチンを打てばいいか悩むと思いますが、住んでいる環境や生活スタイルなどを考慮した上で決めることが大切です。
例えば「犬レプトスピラ」は野生動物(ネズミなど)が感染経路となるため、野外に愛犬を連れて出かけたいという人は接種したほうがよいといえるでしょう。

ワクチン接種の時期になったら、獣医師に相談しながら決めるのが安心です。

また、料金は以下が一般的な相場になります。動物病院によって異なりますが、目安としてご参考にどうぞ。
2種 3,000~5,000円
3種 3,000~5,000円
4種 5,000~6,000円
5種 5,000~7,000円
6種 5,000~8,000円
7種 6,000~9,000円
8種 7,000~10,000円
9種 8,000~10,000円
10種 8,000~12,000円
11種 8,000~12,000円