ワンちゃんを家族に迎えるなら、発情期への対応は考えておくべき問題です。
 有効な対策を立てるためにも、ワンちゃんの発情期がいつなのか、発情期を迎えたらどのような対応を取ればいいのか、知っておきましょう。
「犬の発情期」はいつから?期間は?
発情期は動物が繁殖するための時期で、これを無視してペットを飼うことはできないでしょう。
 オスとメスでは発情期にどのような違いがあり、どんな変化が訪れるのでしょうか?
メスの発情期は何歳まで続く?
最初の発情期はワンちゃんのサイズによって異なり、それぞれ以下の時期に訪れます。
 その後は、年に1〜2回の発情期を周期的に繰り返します。発情期に見られる症状や身体的な変化には個体差がありますが、何歳になれば発情期が終わるということではなく、生涯にわたり続きます。
| 小型犬 | 生後7~10ヶ月 | 
|---|---|
| 中・大型犬 | 生後8~12ヶ月頃 | 
オスにはない発情期
発情期が訪れるのはメス犬だけで、オス犬には発情期というものがありません。オスは発情期のメス犬のニオイ(フェロモン)に反応して発情し、交尾が可能となるため、不要な興奮を防ぐには、発情期のメス犬に近づけないようにしましょう。
発情に至るサイクル
 ・発情前期
 発情期に向けて子宮内に流れる血液の量が増え、発情出血など体の変化が確認できる時期です。この時期になるとワンちゃんは陰部をなめるような仕草をみせ、尿の量が多くなるのに伴い排尿の頻度が高くなります。
 発情前期は平均で8日ほど続きます。ただし個体差が大きく、ワンちゃんによっては3~27日と期間に開きがあることも珍しくありません。
 
 ・発情期
 メス犬が妊娠可能な時期です。平均10日ほど続きますが個体差があり短い場合5日、長い場合は20日と期間の長さに差があります。
 発情期が始まってから5~7日の間に交尾をすると妊娠しやすいといわれています。
 
 ・発情休止期
 妊娠したワンちゃンにとっての妊娠~出産、授乳時期です。妊娠していない場合は、通常の状態と変わりません。ただし、極稀に【偽妊娠】と呼ばれる、妊娠をしていないにも関わらず妊娠したかのような状態になることがあります。発情休止期は、およそ2ヶ月間続きます。
 
 ・無発情期
 繁殖に関する機能が休止している時期で、発情休止期とその後迎える発情前期の間にあたる時期にあたります。この期間は4~8ヶ月ほど続き、この間に発情行動は見られません。
 6~7歳になると発情周期が不安定になり、周期自体が長くなる傾向にあります。
【メスの場合】発情中の対処、生理中の散歩は?
発情期前後になると、メス犬はヒートと呼ばれる生理状態になります。
 ヒートは、発情している状態のことで、発情期以外には見られないような症状、行動が見られるようになります。
発情中の代表的な症状と行動
 ・落ち着きがなくなる
 一般的に、オス犬と比較して大人しいといわれるメス犬ですが、ヒート(生理)中は事情が異なります。発情期になると気が立って落ち着きがなくなり、散歩に行きたがらなくなることもあります。リラックスさせるために、アロマを使ったりマッサージをするなどのケアをしてあげるといいでしょう。
 
 ・マウンティングするようになる
 オス犬特有と思われがちなマウンティングですが、ヒート中のメス犬も他のワンちゃんやぬいぐるみなどにマウンティングをすることがあります。これは発情期に入った証と言えるでしょう。
 
 ・元気、食欲の低下
 ヒート中は体調や感情などがいつもと違うため、元気がなくなったり食欲が低下することもあります。いつもの食事量なのに食べ残すようなら、トッピングを加えるなど一工夫するといいでしょう。
 多少であれば気に掛ける必要はないものの、あまりにも食欲がない、もしくは長引くようなら一度診察してもらってください。
飼い主がしておくべきことは?
 ・他のワンちゃんに会わせない
 ヒート中のメス犬は、フェロモンの刺激によって他のワンちゃんを過剰に興奮させてしまいます。それはオスメス問わず、特に未去勢のオス犬となればなおさらです。そのため、ヒート中の散歩は、なるべく他のワンちゃんと遭遇しないような時間帯を選ぶといいでしょう。
 また、オシッコのニオイも変化するため、散歩中であってもトイレシーツにさせるようにして、持ち帰ってから処理してください。
 
 ・マナーパンツを着用する
 人間からすれば、メス犬が発情しているかどうかはわかりません。そこで、ヒート中はマナーパンツを履かせることで、他の飼い主にヒート中であることを知らせる目印にしましょう。
 なお、ヒート中の出血を受け止めたりニオイを抑えたりするので、目印としてだけでなく機能的にもおすすめです。
 
 ・トイレの失敗は許してあげましょう
 発情期に入ると、オシッコの回数や量が増加します。そのため、普段であれば失敗しない子でも、失敗しやすくなる傾向があるので、この時期は仕方のないことだと思ってください。
 
 ・施設の利用も気を付けましょう
 ワンちゃん向けの施設の中には、トラブルを恐れてヒート中のワンちゃんをお断りする所もありますので事前に確認しましょう。ヒート中に施設の利用は避けた方が無難ですが、連れていく場合はマナーパンツを履かせるなどの配慮をするようにしましょう。
 すぐに脱げてしまう子には、ワンちゃん用のサスペンダーを利用するのもおすすめです。
【オスの場合】発情中の対処法
オス犬が発情する条件は、発情期のメス犬のニオイ(フェロモン)なので、オス犬には発情期が存在しません。そのため、場合によってはコントロールが難しく、不要な興奮を防ぐためには、発情期のメス犬に近づけないようにする必要があります。
行動傾向と飼い主の対応
 ・マウンティング
 発情したメス犬が近くにいる場合は、交尾をして子孫を残したいという本能的な行動からマウンティング行動を取ります。特定のメス犬を追いかけるようなら、接触させないようすぐにその場を離れてください。
 
 ・オス同士のケンカ
 去勢していないオス犬は、他のワンちゃんとケンカしやすい傾向があります。その理由の
 1つが、発情中のメス犬をめぐるケンカです。場合によっては大きなケガを負う可能性もあるので、素早く引き離しましょう。
 
 ・マーキング
 通常のマーキングは、自分の縄張りを主張するための本能的な行動と考えられています。
 発情している場合、ヒート中のメス犬に自分をアピールするためにマーキングをすることもあります。未然に防ぐためには、散歩に出掛ける前にトイレを済ませておきましょう。
妊娠を望まないのなら避妊・去勢手術の選択を
ペットの繁殖は、飼い主にとって大きな問題の1つといえるでしょう。
 しかし、発情したワンちゃんの欲求を無理に押さえつけても、大きなストレスになるため発情の度、体に負担をかけることになります。
 そのため、望まない繁殖をさけるためにも、愛犬への負担を少しでも抑えるためにも、避妊・去勢手術は考えておくべきでしょう。
避妊手術
子宮と卵巣(動物病院によっては卵巣のみ)を摘出する手術です。
 手術時間は1時間程度、費用は5万円程度ですが、動物病院によって多少異なるので、詳しくはかかりつけの獣医さんに確認してください。
 なお、初めての発情期である生後6ヶ月~8ヶ月前後に手術すると、乳腺腫瘍の発症率が大幅に下がるといわれています。
 
 <メリット>
 ・望まない妊娠を防ぐ
 ・乳腺腫瘍や卵巣腫瘍、子宮内膜症、子宮蓄膿症などの病気の予防
 ・発情に伴う症状やストレスの抑制
 ・ヒートによるトラブルの防止
 
 <デメリット>
 ・太りやすくなる可能性がある
 ・ホルモン不足による失禁症になることも
 ・手術による貧血、感染のリスクがある
 ・麻酔によって一時的に体調不良をおこす可能性がある
去勢手術
オス犬の精巣を摘出し、精子を作れなくする手術です。
 手術内容はシンプルなので、通常30分程度で終えることができ、日帰りも可能な場合がほとんどです。料金はおおよそ3万円程度となっています。
 
 <メリット>
 ・ストレスから解放されて性格が穏やかになる
 ・精巣腫瘍や前立腺肥大などの生殖器系の病気、会陰ヘルニアや肛門周囲線種など、未去勢のワンちゃんに多い病気の予防
 ・マーキングやマウンティングが減ったりなくなったりする
 
 <デメリット>
 ・太りやすくなる場合がある
 ・麻酔によって一時的に体調不良をおこす可能性がある
まとめ
ワンちゃんを飼ううえで、避妊・去勢手術は1つの決断です。
 手術は必要というわけではありませんが、しないという決断をするのなら、発情期への何らかの対策はしておくようにしましょう。
 
 下記の「子犬を探す」ボタンからはブリーダーナビで掲載中のワンちゃんをご覧いただけます。ワンンちゃんとお迎えしたいと考えている方はぜひ一度ご覧になってください!
著者/ブリーダーナビ編集部





