シーズーのデリケートなお肌を守りたい
抜け毛が少なく、飼いやすいとされるシーズー。しかし、被毛がやわらかくて密集していることもあるため、皮脂ができやすい犬種でもあります。そのため、きちんと抜け毛対策をしないと毛玉や皮膚病の原因にも繋がってしまいます。
 
 では、どうしたらシーズーの皮膚トラブルを防ぐことができるのでしょうか。
シーズーのお肌がデリケートな理由とは?
原産国を知ることでわかる!?
シーズーは、低温で乾燥地域でもある「チベット」で暮らしていたこともあり、皮膚は乾燥に耐えられるように進化してきました。そして乾燥しても水分が逃げないように皮脂腺から分泌された油分が皮膚を覆っているのです。
 
 その影響もあってか高温多湿の日本では皮膚がべたついてしまい、真菌が繁殖してしまう皮膚環境にさらされてしまいます。これらのことからシーズーは真菌性皮膚炎になりやすく、皮膚トラブルを抱えてしまうのです。
シーズーの皮膚病ってどんな病気が多い?
デリケートな皮膚だからこその悩み
シーズーが患いやすい皮膚病についてご紹介します。皮膚トラブルを患うとかゆみや湿疹だけではなく、フケや脱毛、アブラ症などさまざまな症状が見られます。
 
 ●真菌性皮膚炎
 真菌性皮膚炎は、耳や脇、内股などお腹まわりに症状が出やすい病気です。
 
 【症状】
 ・赤くなる
 ・皮膚が黒ずみゴワゴワする
 ・べたつきがある
 ・独特なニオイがする
 ・黄色いフケがでる
 など
 
 上記のような症状がおきやすいのが特徴です。真菌とはカビの一種のため、きちんと治療をしないと慢性化したり再発したりしてしまうので、早めの対策を取ることが大切です。
 
 ●膿皮症(のうひしょう)
 ワンちゃんの皮膚に住んでいる常在菌の1つである「ブドウ球菌」が異常に増殖することで皮膚に湿疹ができる病気です。
 
 【症状】
 ・赤くなる
 ・発疹
 ・かさぶた
 ・脱毛
 など
 
 症状は顔や脇、股や指の間などに現れます。免疫機能の異常や内分泌系疾患、アレルギー性・アトピー性皮膚炎などが原因の1つでもあります。
 
 ●脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
 皮脂が過剰となって発症する皮膚炎のことを指します。二次的にマラセチア性皮膚炎や膿皮症を引き起こす場合もあります。
 
 【症状】
 ・激しいかゆみ
 ・フケ
 ・べたつき
 ・体臭
 ・発疹
 ・かさぶた
 ・脱毛
 など
 
 また脂漏性皮膚炎は「乾燥脂漏症」「油性脂漏症」「脂漏症皮膚炎」の3つに分類されます。
 
 ・乾燥脂漏症
 皮膚が乾燥してフケが異常に増える
 
 ・油性脂漏症
 皮膚や皮脂がベトベトする。また黄色い塊が被毛や皮膚に付着していたり、悪臭を漂わせたりする
 
 ・脂漏症皮膚炎
 油性脂漏症が重篤化しているもの。強いかゆみや炎症が見られる他、皮膚の色素沈着や、皮膚のきめが粗くなったりする。
 
 かゆみにより必要以上に体を掻き始めたり、噛んだりし始めるので注意が必要です。
 
 ●マラセチア性皮膚炎
 マラセチアとは、酵母様真菌と呼ばれるカビの一種です。このカビは常に犬の皮膚に存在しますが、湿度の高い環境にいることでマラセチア菌が増殖しやすいといわれています。
 
 【症状】
 ・脂クサイ
 ・ベタベタしている
 ・赤くなる
 
 二次症状として、外耳炎を起こす場合もあります。
アレルギーによって皮膚トラブルを引き起こす
アレルギー性皮膚炎では、ワンちゃんが生体外にあるアレルゲンに繰り返し刺激されることで生じる皮膚炎のことを指し、幼犬に多いとされています。
 
 ●食物性アレルギー性皮膚炎
 食べ物に対してアレルギーを起こします。主にタンパク質成分「肉類・卵・牛乳」が原因とされています。
 
 【症状】
 ・かゆみ
 
 かゆみ以外にも皮膚炎を併発させることが多いとされています。また、下痢や外耳炎などを引き起こすこともあります。
 
 ●アトピー性(吸引性)皮膚炎
 室内のホコリなどによるハウスダストや花粉、ダニや真菌などを吸引してアレルギーを起こします。
 また遺伝的要因が多いといわれています。
 
 【症状】
 ・顔や足、お腹まわりなどに強いかゆみを引き起こす
 
 皮膚炎や外耳炎なども引き起こすといわれています。
 
 ●アレルギー性接触皮膚炎
 生活環境の中であらゆる物がアレルギー対象となります。例えば「シャンプー・じゅうたん・ノミ取り首輪・合成樹脂製の食器」などの接触で引き起こすことがあります。
 
 【症状】
 ・炎症反応が起こり、かゆみが強くなる
 
 かゆみが強くなると、湿疹状態になります。
心因性による皮膚トラブルもある
ストレスにより、脳の自律神経や免疫力の働きを妨げ、かゆみを促進してしまうこともあるそうです。
 
 ●心因性掻痒症
 精神的なストレスにより、過度に体を舐めることで皮膚炎を引き起こすことがあります。そして皮膚炎を患ってしまったことにより、さらにかゆみが増して舐めたり掻いたりすることで重症化してしまうことがあります。
 
 【症状】
 ・かゆみ
 ・赤み
 これらが耳や手、足や内股などに起こる
 
 しかし心因症はアトピーと似ているため、診断は「アトピーやアレルギー」だといわれることが多く、心因性の病気だということを見過ごされることが大変多いといわれています。
著者/ブリーダーナビ編集部




